よい炭水化物、悪い炭水化物とは? ホールフーズプラントベースダイエットで摂る炭水化物。

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炭水化物と聞くと、肥満や糖尿病などと結び付けて悪者にされがちですが、人間が生きていくためには、なくてはならない重要な栄養素です。ホールフーズプラントベースダイエット(詳しくはこちら)では、基本的に炭水化物をたくさん摂ります。ただし、どの炭水化物でもよいというわけではありません。摂るべき炭水化物と避けるべき炭水化物の違いを知って、恐れることなく炭水化物を摂取したいものです。

目次

炭水化物とは

炭水化物は、タンパク質や脂質とならぶ三大栄養素の一つで、その最も重要な役割は、エネルギーの供給です。私たちは、摂取する炭水化物のほとんどを植物に頼っています。炭水化物は、米や小麦粉などの穀物をはじめ、野菜や果物、ナッツやシード、あるいはケーキやジュースなど、実に多くのものに含まれています。

炭水化物は、 栄養学的には、糖質と食物繊維に分類されます。食品表示ラベルに「炭水化物 23.5 g、糖質 20 g、食物繊維 3.5 g」などと表示されているのを見たことがあるのではないでしょうか? これは、その食品に炭水化物が 23.5 g 含まれ、そのうち 20 g が糖質、 3.5 gが 食物繊維 ということです。つまり、食品中に含まれる炭水化物の量は、食物繊維と糖質を合わせた量となります。

体内で分解された糖質は、ブドウ糖として脳や筋肉にエネルギーを供給します。特に脳は、通常はブドウ糖のみをエネルギー源としているため、炭水化物が必須です。体重のほんの 2 %程度でしかない脳ですが、身体に必要なエネルギー総量の 20 %以上を消費するというのですから驚きです。一方、消化・吸収されずに体から排出される食物繊維は、エネルギー源としてはほとんど働きませんが、整腸作用のほか、血糖値上昇の抑制、血中コレステロール値の低下など、さまざまな効果があることがわかっています。

炭水化物の摂取量

さて、この炭水化物、一体どのくらい摂取するのが適当なのでしょうか? 厚生労働省による炭水化物の摂取目標量は、摂取エネルギー(カロリー)の 50~65 %です。

一方、ホールフーズプラントベースダイエットでは、厚生労働省の定める目標値の上限を超える炭水化物摂取量を推奨しています。例えば、T. コリン・キャンベル博士は、摂取エネルギーの約 80 %を炭水化物から摂るのが理想的としています。ただし、同じホールフーズプラントベースダイエットでも、研究者や医師の間で考え方にやや違いがあり、炭水化物の推奨摂取量も異なるので、おおむね 65~80 %程度と考えておくとよいのではないでしょうか。

では、このように 厚生労働省の定める値を超える大量の炭水化物を摂取することは悪いことなのでしょうか? 実は、これは一概によいとも悪いともいえません。というのも、どのような食品から炭水化物を摂取するかにより、悪い場合もあり、よい場合もあるからです。

よい炭水化物と悪い炭水化物

私たちが食品として摂取する炭水化物には、よい炭水化物と悪い炭水化物があります。

よい炭水化物の特徴は、ホールフーズであること、つまり、精製・加工されていないことです。例えば、全粒穀物(玄米、キヌア、オーツ麦など)、野菜、果物、豆類などがこれに該当します。これらの食品は、食物繊維はもちろんですが、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質など、さまざまな微量栄養素を含み、それらの成分は、私たちの健康に大きく貢献してくれます。これが、精製・加工されていない食品を選ぶべき大きな理由の一つです。

これらの食品に含まれる食物繊維は、消化・吸収を遅らせ、それにより血糖値の上昇をゆるやかにします。果物は、糖分が多くて太りそうという理由で敬遠されることがありますが、水分や食物繊維を大量に含むことから満腹感が得られやすく、さらに、血糖値の急激な変動が抑えられることから、空腹を感じるまでに時間がかかり、結果的に食べすぎの抑制になります。果物は、ビタミンやミネラルなど、健康維持に欠かせない多くの栄養素を含んでいるので、たっぷりと食べたいものです。ただし、同じ果物でも、食物繊維を含まないジュースの状態では、悪い炭水化物に含まれるので注意してください。

悪い炭水化物は、繊維、ビタミン、ミネラルなどの栄養素に乏しい、精製・加工された炭水化物です。まずは、単純糖質ともよばれる単糖や二糖などの糖類。これらは、甘みの強い糖質で、ショ糖(砂糖)、ブドウ糖、果糖がこの仲間です。これらを含むジュースやお菓子などは、避けたい炭水化物の代表です。同じ果糖でも、果物に含まれている果糖は避ける必要はありません。すでにお話ししたように、精製・加工されていないホールフーズの状態の果物は、繊維その他の栄養成分が含まれているので、果糖を単体で摂るのとは全く意味合いが違います。

また、白米や精製された小麦粉、それらを使ったパンやケーキなどの加工食品も悪い炭水化物に含まれます。これらの食品は、精製することにより、ホールフーズが本来もっている栄養素や食物繊維がそぎ落とされ、高カロリーで栄養価の低い食品となっています。また、このような食物繊維を含まない炭水化物は、摂取後すぐに消化・吸収されるので、血糖値を急激に上昇させ、肥満にもつながります。また、加工食品は、多くの場合、さまざまな添加物が含まれるだけでなく、糖分や塩分、油脂なども過剰に含まれるので、そのような意味でも、できる限り避けたい食品です。

炭水化物は栄養学的には糖質と食物繊維に分類されるということはお話ししましたが、化学的には、その炭水化物を構成する糖の数によって単糖類、 オリゴ糖(二糖を含む)、多糖類に分類されます。単糖類は、それ以上単純な形に分解することができない糖で、炭水化物の構造の基本となります。グルコース(ブドウ糖)やフルクトース(果糖)がこれに当たります。単糖が 2~10 個結合したものがオリゴ糖で、そのうち単糖が 2 個結合したものは特に二糖と呼ばれます。スクロース(ショ糖)、マルトース(麦芽糖)、ラクトース(乳糖)がこの例です。また、多数の単糖が結合したものが多糖で、デンプンや食物繊維がこれに含まれます。

血糖値とは、血液中のブドウ糖の濃度です。炭水化物は、体内でブドウ糖に分解され、血液中に放出されます。このため、食後は血糖値が上昇します。血液中の ブドウ 糖の濃度が上がると、それに反応して、すい臓からインスリンが分泌されます。インスリンは、筋肉などの細胞が、血液中のブドウ糖を取り込んでエネルギー源として利用するのを助けるホルモンです。インスリンの作用により、ブドウ糖が細胞に取り込まれると、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)は下がります。このとき、血糖値の上昇が急激であれば、血糖値を下げるために多量のインスリンが分泌されますが、インスリンは、細胞に糖を取り込むだけではなく、過剰な糖を脂肪として蓄える働きもあります。

よい炭水化物を食べると、血糖値の上昇はゆるやかになるので、インスリンが過剰に分泌されることはありません。一方、悪い炭水化物は、血糖値の急上昇・急降下をもたらし、これは健康上好ましくありません。血糖値の急激な変動を抑えることは、糖尿病の人だけでなく、健康な人にとっても、食後の強い眠気や倦怠感を防いだり、空腹を感じにくくしたりする効果があります。

食物繊維

食物繊維は多数の単糖が結合したものですが、ヒトの消化酵素では、その結合を切り離してバラバラの単糖に分解することはできません。そのため、食物繊維を含む食品は、消化に時間がかかり、食後、血液中にゆっくりと安定的にブドウ糖が放出されることになります。これは、血糖値の急激な上昇を抑え、食べすぎを抑制するので、肥満の防止にもつながります。食物繊維のその他の効果としては、便秘の予防がよく知られていると思いますが、それ以外にも、腸内環境を整えたり、コレステロールの吸収を抑えたり、大腸がんを予防したりと、健康を維持するうえで欠かせない食品成分です。この食物繊維ですが、動物性食品には含まれず、植物性の食品からしか摂取できないことはご存じでしょうか? よい炭水化物、つまり、全粒穀物や豆類、野菜、果物などのホールフーズには、食物繊維が豊富に含まれます。

厚生労働省によると、1 日の食物繊維の摂取目標量は、成人男性で 20 g 以上、成人女性で 18 g 以上となっています。ただし、実際には、「理想的には 24 g/日以上、できれば 14 g/1,000 kcal 以上を目標量とすべき」であるが、これよりも日本人の食物繊維摂取量がかなり少ないことから、実現可能性が低いとし、上記の目標値となっているようです。以下は、厚生労働省ウェブサイトからの引用です。

食物繊維摂取量との関連が最も明らかな生活習慣病は心筋梗塞であると考えられる。そして、10 のコホート研究のデータを統合して再解析したプールド・アナリシスによると、24 g/日以上摂取で心筋梗塞死亡率の低下が、12 g/日未満摂取で死亡率の上昇が観察されている 6)。しかし、この研究には菜食主義者の集団が含まれていること、全ての研究が欧米諸国で実施されていたこと、食物繊維摂取量が日本人よりも全体的に多めであることなど、この結果をそのまま利用するには問題が残されていると考えられる。一方、最近まとめられたメタ・アナリシスでは、明確な閾値は認められず、ほぼ直線的に心筋梗塞のリスク(発症率又は死亡率)と負の関連が示されている 7)

 ところで、アメリカ・カナダの食事摂取基準では、この研究で用いられたそれぞれの研究を中心にレビューを行い、14 g/1,000 kcal を目安量としている(注意:アメリカ・カナダの食事摂取基準には目標量という指標は存在せず、目安量を用いている)5)。これはそれぞれの研究において最も大きな予防効果が観察された群の摂取量の代表値に基づく値であり、上記の 24 g/日よりも実質的には高い摂取量である。

出典:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042632.pdf

これを考慮すると、少なくとも 24 g/日以上を目指すのが賢明かもしれませんね。ホールフーズばかり食べていると、このくらいの数値は、とても簡単にクリアーできます。

ところで、少ないとされる日本人の平均食物繊維摂取量はどのくらいなのでしょうか? 厚生労働省のe-ヘルスネットによると「1950年頃には一人あたり一日20gを超えていましたが、穀類・いも類・豆類の摂取量の減少に伴い、減少傾向にあります。最近の報告によれば、平均摂取量は一日あたり14g前後と推定されています」とのことです。ちなみに、ホールフーズプラントベースダイエットを推奨している Physicians Committee for Responsible Medicine による推奨量は、1 日 40 g なので、厚生労働省の目標量は、あまりにも少なすぎるように感じます。

低糖質ダイエットの危険性

このように人間の体にとって重要な炭水化物、近年、その重要性が見直されてきているようではありますが、未だに、低炭水化物ダイエットが幅をきかせています。ケトジェニックダイエットやパレオダイエットがその代表格です。

例えば、ケトジェニックダイエットでは、穀物、豆類、果物、でんぷん質の野菜(イモ類、カボチャ、トウモロコシなど)を避け、赤身の肉、魚、ナッツ、乳脂肪、卵、チーズ、油などの食品を摂取します。炭水化物の摂取を抑え、タンパク質や脂質(特に動物性食品)を多く摂取するようなダイエットは、たとえ短期的に体重を減らす効果はあっても、長期間続けた場合の健康への影響については疑問視されています。このようなダイエットで推奨されている食品が、腎臓病、心臓病、がん、糖尿病、アルツハイマー型認知症などのリスク増加に関連し、逆に、避けるべきとされる野菜や果物、穀物、豆類などは、これらの疾患をリスクを低下させるからです。ケトジェニックダイエットと慢性疾患との関連について検討した最近の研究では、ケトジェニックダイエットの長期的なリスクが指摘されています。

よい炭水化物と悪い炭水化物の具体例

最後に、よい炭水化物と悪い炭水化物の具体例を挙げておきます。

よい炭水化物

よい炭水化物は、精製・加工されていないホールフーズです。

  • 全粒穀物
    • 玄米、キヌア、オーツ麦、100 % 全粒粉のパン、大麦など
  • イモ類
    • ジャガイモ、サツマイモ、サトイモなど
  • 野菜
  • 果物
  • 豆類
    • 大豆、レンズ豆、ひよこ豆、小豆など

悪い炭水化物

悪い炭水化物は、精製・加工された食品です。特に、砂糖や小麦粉は、多くの加工食品に含まれます。

  • 砂糖
  • 砂糖、ブドウ糖、果糖、果糖ぶどう糖液糖などを含む飲料
    • ジュース(100 %フルーツジュースを含む)、エナジードリンク、スポーツドリンクなど
  • 白い小麦粉を含む食品
    • ケーキ、パン、マフィン、クッキー(全粒粉と書かれていても 100 %ではないことが多いので注意 )、お好み焼き、うどん、ラーメンなど
  • 白米
  • 加工食品
    • 市販のシリアルやグラノラ(糖分が非常に多く含まれています)

上記はほんの一例ですが、大事なことは、植物性の食品をできるだけ加工されていない形で食べることです。炭水化物を含む食品を精製・加工されていない状態で食べると、食物繊維やビタミン、ミネラル、抗酸化物質などの健康に欠かせない栄養素を一緒に摂ることになるからです。炭水化物を避けるダイエットをしていると、エネルギーが不足するだけでなく、これらの重要な栄養素も不足することになり、これは健康上、大きな問題となります。

よい炭水化物をたっぷり食べてください!

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