暑く長く厳しい夏がようやく終わりを告げ、やっと秋らしい気候となりました。猛々しい夏草は枯れ、やわらかい冬の草が地面を覆っています。今年はこの時期でも暖かいので、まだ夏野菜が少し収穫できていますが、秋冬野菜も育ってきて、畑には葉物が目立つようになってきました。いろいろ大変だった夏を振り返りつつ、夏から秋にかけて種をまいた作物の成長を見ていただきたいと思います。
細々と収獲が続く夏野菜
今年の夏野菜は、植え付け当初に予想外の遅霜にやられ、植え替えたり、種をまき直したりと苦労しました。そんなこんなでナス科の野菜は少し成長が遅れたものの、季節が進むにつれて順調に実をつけ、夏の間、野菜を購入することがほとんどないくらいたくさん収穫することができました。ウリ科については、今年はウリハムシが非常に多かったため、最後まで苦戦しました。
ミニトマトは、9 月ごろから蛾やカメムシの被害で、収穫できないものが多かったですが、寒くなってきてからは虫の活動が低下して、最近また少しずつ収穫できるようになってきました。支柱を立てて栽培していた株はもう終わりに近づいていますが、放任で地這いにしていたマッツワイルドチェリートマトは、まだまだ青々としていて、元気に花も咲かせています。
トウガラシ類は、去年もよく採れましたが、今年は株が特に大きく成長し、去年よりもさらにたくさん、とても食べきれないくらい実が付きました。収穫できないまま赤くなった実も多いですが、まだ青い実もどんどんできています。万願寺とうがらしは、暑くて水分不足だったせいか、交雑してしまったのか不明ですが、口から火が出そうなほど辛いものがあり、それがどの株かわからないため、途中から収穫するのをやめてしまいました。そもそもトウガラシ類は、万願寺とうがらし、伏見甘長とうがらし、ピーマン、パレルモ、オレンジミニパプリカと、たくさんの種類を作りすぎているので、来年からは、少し減らそうかと思っています。
ナスは、熊本ナスとアップルグリーンナスを育てていますが、今年はよく採れました。寒くなってきて成長はゆっくりですが、今も少しずつ収穫できています。今年新しく借りた畝で栽培していますが、この畝は地力が高いようで、養分をたくさん必要とするナスもちゃんと成長してくれました。ヘチマは、初期にウリハムシにやられてほとんど成長しないままでしたが、涼しくなってから実をつけて、少しですが収穫できました。去年収穫したものは食器洗い用のタワシとして使っていますが、プラスチックに頼らずに食器洗いができるので重宝しています。
ハーブ類は、猛暑でかなり弱ってしまったものもありました。写真にはありませんが、タイムやセージはかなりダメージを受けたものの、秋になって勢いを盛り返してきました。イタリアンパセリは、夏の間キアゲハの幼虫に食べられてほとんど丸坊主になっていましたが、これも涼しくなって元気に茂ってきています。今年はバジルがよくできて、スイートバジルもホーリーバジルも豊作でした。スイートバジルはペーストにして冷凍し、ホーリーバジルはハーブティー用に干して保管しているので、冬の間も楽しめそうです。ホーリーバジルは、株によってはまだ収穫もできます。春に自家採種した種をまいたときには発芽が悪く、途中で種を購入して追加でまきましたが、結果的には、最初にまいたものだけでも十分なほど大株に育ちました。スイートバジルは、去年もおととしもメボウキべと病で収穫が早期に終わってしまいましたが、今年は最後まで元気に育ってくれました。
これから収穫する作物
この辺りではもうすぐ初霜が降りそうなので、その頃にサトイモとヤーコンを収穫する予定です。サトイモは、暑さと雨不足のせいか、あまり大きく育ちませんでしたが、はじめての栽培なので、来年の種芋と食べるものが少し採れればいいと思っています。サトイモの陰にショウガも植えていましたが、先日収穫したら、とても小さいものが少しできていただけで、来年の種は確保できませんでした。ヤーコンは、大きく育っているので期待しています。大好きなサツマイモは、残念ながら驚くほどの不作でした。イノシシに何度か掘り返されたのと、ツル返しを怠ったのが原因でしょうか。今年は自分で作った苗だったので残念ではありますが、良いものもあれば悪いものもあるので仕方がないですね。来年に期待します!
春に苗床に種をまいて、初夏に定植した九条ネギは、一時虫にやられていたものの、今は順調に育っています。ピシッとまっすぐ空に向かって伸びる姿を見ると気分がいいものです。ササゲは、それほど虫食いもなく育っていますが、茶色くなってくるとカビが生えたような汚い姿になってしまいます。今日も少し収穫しましたが、乾かして、中身が無事かどうか見てみようと思います。写真はありませんが、黒インゲンと白インゲンは、かなり虫にやられているのであまり期待はできませんが、実が成熟するのを待っています。少なくとも種が採れればいいのですが。大豆は二種類の種をまきましたが、莢が膨らまず全滅です。大豆は上手くいったためしがありません。それでも、土を肥やしてはくれていると思うので、全く無駄ということはないと思っています。
猛暑を乗り切ったイチゴ
夏の間、手を入れる余裕がなく、チガヤに覆いつくされてすっかり姿が見えなくなっていたイチゴですが、二週間ほど前にやっと救出しました。葉っぱに黒斑が出ているので、もしかしたら炭疽病でしょうか。新しく出てくる葉はきれいなので、持ちこたえてくれるといいのですが。株間には、カレンデュラを定植したり、ディルやオルレアの種をまきました。この畝は、チガヤと笹がものすごい厳しい環境ではありますが、今年の春に解約した貸農園から移植したイチゴが、来春たくさんの赤い実をつけてくれることを夢見ています。
タマネギとラッキョウの定植
タマネギの苗は今年はじめて育苗を試みましたが、暑さと虫で上手くいかず、たった 10 本ほどしか残りませんでした。仕方なく購入することにしたのですが、店でもなかなか見つからず、昨日なんとか入手できてほっとしました。少し高かったのですが、セルトレイに入った苗だったので元気でした。今朝、一番地力のある畝の落花生の跡地に密植気味に植えました。自然農のベテランの方に、ラッキョウの苗も分けてもらったので、それも植え付けました。
写真は撮っていませんが、今日は、あぜ道にライ麦をまきました。今年自家採種した種です。チガヤだらけのあぜ道なのですが、播種する場所だけ草を刈り、穂のままのライ麦をばらまいて、軽く土をかぶせて踏みつけておきました。手抜きの種まきですが、ライ麦は強い上に、数時間後には雨が降り出したので、きっと発芽してくれると思います。チガヤの勢力が少しでも弱まるといいのですが。
秋冬野菜
今年は、猛暑で秋冬野菜の種まきが非常に大変でした。暑さと乾燥でなかなか芽が出ず、出ても虫に食われ、何度もまき直して、もうどこに何をまいたのかわからないような状態でした。今年はじめて秋冬野菜の育苗にもチャレンジしましたが、暑さのせいで苗床は見事に全滅。アブラナ科もタマネギもすっかり消滅しました。アブラナ科とレタスは、家でも少し育苗していたので、それらを畑に出しましたが、初期は虫の害がひどく、これらも全滅かと心配しましたが、最近やっと落ち着いてきました。今は、アオムシとバッタの被害はありますが、ダイコンサルハムシはかなり減ってきたようです。
白菜は、畑での育苗は失敗し、家で育苗して定植したものが生き残っています。遅い時期に直まきしたものも残ってはいますが、小さいままで結球は無理そうです。春に菜の花が収穫できるので、それはそれで楽しみです。
大根は、簡単に発芽して、少々虫に食われても大丈夫なので、初心者でも育てやすい野菜だと思っていましたが、今年はそう簡単にはいきませんでした。暑さでなかなか発芽しない上、虫の被害もかなりのもの。それでもめげずに何度もまいているうちに、いつのまにか育ってきて、間引き収穫ができるまでに成長しました。
アブラナ科のその他の野菜は、小松菜、チンゲン菜、タアサイ、ビタミン菜、小カブ、金カブ、ラディッシュ、カラシナを直まきしました。通常通りの時期に種をまいたものは、芽が出ないか、出てもことごとく虫に食べられて、どうしようもない状態でしたが、諦めずに何度もまいていると、そのうち育つようになり、今では、今までにないくらいの美しい葉物が育っています。ブロッコリー、芽キャベツ、キャベツは、苗床での育苗に失敗したあと、家で育苗して定植しました。カリフラワーは苗床で全滅して、種がなくなったので諦めました。ブロッコリーやキャベツは、アオムシとバッタにかなりやられてはいますが、致命的なほどではなく、これから虫もいなくなるので大丈夫そうです。キャベツは越冬用なのでいいのですが、芽キャベツとブロッコリーに関しては、種まきが遅れてまだ小さいので、今後どのくらい成長するのかは謎です。今年は、厳しい夏でしたが、それでも何度も種をまくことでちゃんと育つようになり、しかも虫食いのない美しい葉物が育っているので、播種時期の大切さを改めて実感しました。そうは言っても、ただひたすら何度も種をまいていただけで、結局いつまいたものがうまく育っているのかもわからず、わかったとしても気候は毎年違うので、この日にまけばうまくいくというものではありません。でも、こうやって毎年育てていれば、いつかは「今だ!」と言うタイミングがつかめるようになるのかもしれません。
今年はじめて栽培するロメインレタスは、直まきでは暑すぎて発芽しなかったので、家で育苗しました。半結球レタスですが、頼りない感じの成長ぶりなので、外葉を欠きながら食べることになりそうです。
ビーツは、これまでも何度か挑戦しましたが、今回はじめてまともに成長しています。ほんの数株しかありませんが、今のところ一株だけ収穫し、スムージーにしていただきました。パクチーやディル、ルッコラなどもだんだん成長してきました。ただでさえ発芽が難しいニンジンは、今年は特に厳しく、何度かまき直しを余儀なくされました。現在は、一部が順調に成長し、少しずつ収穫できるようになりました。
ニンニクは、種用のものではなく、道の駅で売られている食用のニンニクを植えてみました。少し発芽に時間がかかりましたが、今は順調に成長しているようです。去年はネギオオアラメハムシにやられて全滅したので、今年は念のため三か所に分けて植えてみました。
本日の収穫
今日は、ニンジン、ヘチマ、ミニトマト、ニラ、ラディッシュ、熊本ナス、伏見甘長トウガラシ、ピーマン、パレルモを収穫しました。夏中豊かな恵みをもたらしてくれ、もうすぐ命を終えようとしている夏野菜には、感謝の気持ちでいっぱいです。そして、終わらない夏の暑さにも負けずに芽を出し、美しく成長している秋冬野菜を見ると、植物の逞しさに感動せずにはいられません。夏の間は、畑に行っても、暑くなるまでになんとか用事だけを済ませるのに必死で、周りを見る余裕もありませんでしたが、今朝、ゆっくりと畑を見回っていると、自然農で野菜を作れる今の奇跡的に恵まれた環境が、しみじみとありがたく感じられました。
今日の収獲ではないのですが、先週と先々週に落花生を半分ずつ収穫しました。去年自家採種した種から育てたものです。三か所植えたうち二か所は大きくならなかったり、動物に食べられたりで全然ダメだったのですが、一番たくさん植えていた場所だけは、動物の被害もなく、すくすくと育ってくれました。虫食いは少しありましたが、去年までの比ではなく、とてもきれいなものがたくさん採れて大満足です。写真は、10 月 14 日の一回目の収獲ですが、小さい実は茹でて食べ、それ以外は乾燥させ、特に大きな実は来年の種としてとってあります。去年は収穫が少なく、種用を取ると少ししか残らなかったので、ピーナッツバターをちょっと作って終わってしまいましたが、今年はもう少し楽しめそうです。
今日の生き物と草花
畑には、まだコスモスがちらほらと咲いています。もう実をつけなくなったズッキーニも花を咲かせています。マリーゴールドとアフリカンマリーゴールドは、あちこちに咲いています。
先週、落花生を収穫していると、土の中からトノサマガエルが顔をのぞかせました。もう冬眠の時期なのでしょうか? 起こしてしまって悪いことをしました。