限られたスペースで夏野菜の育苗

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畑をはじめて 3 回目の春になりますが、最初の年は、畑を借りたのが 5 月末の夏野菜の定植時期だったので、苗はすべてホームセンターで購入しました。二年目となる去年は、はじめて育苗に挑戦し、ミニトマトやトウガラシ類など、たくさんの苗を畑に送り出しました。そのときは、主に種苗交換会でいただいた種を使いましたが、今年は、自家採種した種も使用しています。

目次

自分で育苗するということ

夏野菜の苗は、ホームセンターなどに行けば簡単に手に入ります。品種にこだわりがなければ、一株 100 円以下で手に入るものもたくさんあります。育苗にかかる時間や手間を考えると、そのような苗を購入して定植するほうがよほど効率的なのですが、売られている苗は、すでに農薬や化学肥料が使用されています。さらに言うと、種にも農薬が使われていたりします。種苗交換会でいただく種は、農薬や化学肥料はもちろん、多くの場合は有機肥料さえも使わずに育てられた野菜から採種されています。しかも固定種のものが多いので、自分で種を採って継いでいくことができます。無肥料無農薬の畑で自家採種すると、安全な野菜が食べられるというだけでなく、種や苗を買わなくていいので、コストの軽減というメリットもあります。また、自家採種した種から育てると、その作物に対する気持ちも変わってきます。小さな種が発芽し、少しずつ生長して実をつけ、種ができるまでの過程を見ていると、自然の営みに対する畏敬の念と感謝の気持ちを抱かずにはいられません。畑には毎日行けないので日々の変化を詳細に観察することはできませんが、家で育てている苗は、毎日好きなだけじっくりと観察することができます。限られたスペースでの育苗は、確かに手間はかかるのですが、ほぼ二か月にわたって苗の成長を見守れることは、家で育苗するからこそ味わえる楽しみです。

すべての野菜で自家採種できれば理想的なのですが、少なくとも今の時点では、技術的にも環境的にも、なかなか難しいのが現状です。アブラナ科の葉物野菜など、交雑しやすい作物の自家採種はハードルが高く、まだ試みていません。でも、交雑しにくいトマトやピーマン、豆類などであれば、比較的簡単に種を採ることができるので、とりあえずは、無理のない範囲で種を継いでいければと考えています。

わが家の育苗環境

田舎に引っ越して 2 年以上になりますが、最初に借りたアパートに今も住んでいます。育苗場所は、アパートのベランダと玄関側の外廊下。ベランダは南東向き、外廊下は北西向きなので、午前中はベランダ、午後からは外廊下と、毎日苗を移動させながら育苗しています。畑の広さは 100 平米ほどと小規模ですが、それでも苗の数はそれなりに必要で、毎日移動させるのは結構めんどうです。数えてみると、ポリポットが 64 個と、少し大きな容器でまとめて育てているものが 2 個。それから、いっこうに芽が出ないサツマイモもあります。晴れた日の朝は、これらすべてをベランダに出し、午後には外廊下に移動し、夕方寒くなる前に室内に取り込みます。

使用している資材

ポリポットは、3 号(9 センチ)のものを使用しています。これは、去年使ったものを再利用しています。黒いポットは、太陽熱で地温が上がりやすいので、寒い時期には重宝します。

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今年は、透明カバー付きの育苗トレイを購入しました。プラスチック製品は、できるだけ買わないようにしていて、また、ものを増やしたくないという理由もあって、去年は段ボール箱などを利用しましたが、やはり、専用のものは使いやすく、温度が上がるので、苗の育ち方もまったく違います。最初は一個だけ購入したのですが、途中でもう一つ買い足しました。この育苗トレイには、3 号ポットが 24 個入ります。あとで紹介する「島の自然農園」さんの動画で、お弟子さんのまなちゃんがこれと同じものを利用しているのを知りました。

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参考のために、家にあるものを利用した、去年の育苗写真を載せておきます。発泡スチロールの箱や段ボール箱にポリポットを入れて、透明の袋などをかぶせています。この方法では、箱の高さがあるので日が当たりにくいのが一番の問題です。とはいえ、箱を低くしてしまうと、少し苗が成長しただけでカバーに当たってしまいます。また、ポット側部の黒い部分に日光が当たらないので、地温が上がりにくいという問題もあります。さらに、ダンボールは水に濡らせないので、水やりに苦労します。ポットの下にはビニール袋などを敷いていますが、ジョウロで全体に水をかけると箱自体が濡れてしまうので、ポット一つひとつに、こぼれないように注意して水をやらなければなりません。このようにあるものを利用する方法は、無駄な資材を使わないという意味では理想的ですが、あまり効率的ではありません。

今年購入した育苗箱は、風を防ぎながら太陽光を十分に取り入れて、地温を確保してくれます。箱が濡れることを気にせずにジョウロで全体に水をかけることができるので、水やりも楽です。また、カバーの背が高いので、ある程度生長するまで、寒さから苗を守ることができます。

これを購入する前は、小型の簡易温室をベランダに置くことも検討していました。でも、うちのベランダは狭いので、そんなものを置くと足の踏み場がなくなり、洗濯物を干すのにも苦労することになるので断念しました。今考えると、小型温室を置いたとしても、午後には日が当たらないベランダなので、結局は苗を移動するはめになっていたのかもしれません。しかも、ここの気候では、夜は室内に取り入れなければ寒すぎます。そういうわけで、今回購入した育苗トレイの方が、わたしの環境には合っていたと満足しています。ただ、日中よく日が当たる場所があり、夜もそれほど冷え込まない地域であれば、このような温室も便利なのではないかと思います。

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今年の苗のようす(ナス科)

去年は 3 月 15 日に開始した夏野菜の育苗ですが、今年は 5 日遅い 3 月 20 日に種をまきました。それでも、今年の春は 3 月からとても暖かく、しかもカバー付き育苗トレイを使っているおかげで、去年よりもかなり生育が進んでいます。一番最初に発芽するトマトは、去年は 10 日ほどかかりましたが、今年は一週間です。もう少し高温が要求されるトウガラシ類も去年は二週間かかったところ、今年は 10 日前後でおおむね順調に発芽しました。

一方、あまり発芽しなかった種もあります。熊本ナス、チャイブ、セージ、伏見甘長トウガラシなどです。温度はそれなりに確保できていたと思うので、畑の通路からとってきた土をそのまま使ったのが敗因ではないかと考えています。畑の畝上の表土は、作物を育てるのに適した団粒構造ができてきていて、保水性も排水性もそれほど悪くない感じなのですが、常に踏みつけている通路の土は、土の粒子が細かい粘土質で排水性が悪く、空気も含まれにくいので、種が窒息してしまったのではないかと推察しています。また、種をまいた後は、水やりをせずに新聞紙などをかぶせて表面が乾かないようにするといいと聞きますが、わたしの場合、ポット一つひとつに名札を立てているので、それが引っ掛かって新聞紙をかぶせることができず、そうすると土の表面がすぐに乾いて何度も水をやることになり、粘土質の土がどんどん圧縮されて事態を悪化させていた気がします。トマトは丈夫なので、それでもよく成長していますが、ナスやトウガラシ類のなかには、発芽後の成長がもう一つ思わしくないものもあります。

一つのポットには、だいたい 3 粒ほどの種をまいていますが、発芽したものを間引いて捨ててしまうというのはどうにも気が進みません。早く成長したトマトについては、適宜、間引いたものを別のポットに移植しました。トウガラシ類とナスは、トマトよりもゆっくりと生長するので、数日前にやっと間引きをしました。やはり捨てる気にはなれなかったので、数が増えすぎるとは思いながらも別のポットに移植しました。このときに、ついでに土を入れ替える作業もしました。正確には、間引いたというよりも、ポットから土ごとすべて取り出し、なるべく根を切らないように苗を分けて、すべての苗を新しい土に移植しました。土は、グリーンカーテンに使った古い土に腐葉土ともみ殻燻炭、それから家の中でコンポストをしたあと冬の間数か月熟成させてできた土、そして畑の土を混ぜて作りました。配合は適当ですが、水はけのよさそうな土になりました。植え替えて水をやると、トウガラシ類がすべて萎びてしまって驚きました。その日はとても寒く、冷たく強い風が吹いていたので、弱ってしまったのかもしれません。風がなく暖かい室内に入れてしばらく置いておくと、3 時間後に見たときにはすっかり元気になっていました。そのあとすぐに日に当てましたが、その後萎びることはありませんでした。

今年の苗のようす(ウリ科)

ウリ科の種は、4 月 12 日に播種し、5 日でズッキーニとヘチマが発芽しました。ズッキーニは、はじめて種から育てますが、芽が出たと思ったら、あっという間に大きくなって驚いています。スイカやキュウリは少し時間がかかって発芽したもの、まだ発芽していないものがあります。スイカは、去年大きくなれなかったものから採種した種なので、よくない種なのかもしれませんが、小さいながらもおいしいスイカだったので、イチかバチか育ててみることにしました。カボチャは、あと一息で発芽しそうになりながら、ここ数日かなり冷え込んでいるので、なかなか地上に出たがりません。寒くて布団から出るのをためらっているかのようです。

今年の苗のようす(ハーブなど)

3 月 29 日に、青ジソ、スイートバジル、セージ、チャイブ、ニゲラの種をまきました。

去年は、青ジソの種を購入し、畑にもポリポットにもまきましたが、なぜか何度まいても発芽しませんでした。結局、道の駅で購入した食用のシソを挿し木して栽培に成功し、また、貸農園の草捨て場に捨てられていた大きな株を移植してそれもちゃんと根付いたので、どちらも種を採取することができました。今年は、その種をまいたのですが、きっと発芽しないだろうと多めにまいたところ、一週間経たないうちに発芽し、あっという間にポット一面が芽で覆いつくされました。採取した種は、売られている種のようにつるっと丸い状態ではなく、まだ殻が付いた状態だったので、保水性がよく、発芽しやすかったのかもしれません。種は、自然に落ちた状態で一番よく発芽するということなのでしょうね。スイートバジルは、去年のシーズン終わりに、おそらくメボウキべと病と思われる病気に感染したので、種は廃棄して、新しく購入しました。種苗交換会でいただいたニゲラの種もまきました。畑でも少し発芽していますが、やはり育苗している方が生長が確かです。セージは、それらしい芽がほんの数個だけ出ていますが、草の可能性もあるので見守っている途中です。チャイブは残念ながら発芽しませんでした。

今日の苗のようす

今日は朝から雨なので、苗はすべて室内にあります。室温は 16 ℃と少し寒いのですが、少しでも日が当たるようにカバーは外しています。カバー付きのトレイに入れられる数は限られているので、比較的寒くても大丈夫そうなトマトなどは、少し大きくなってからは、カバーのないトレイにのせて、そのまま外に出しています。去年と比べ、全体的に成長が早いのですが、この辺りでは、ゴールデンウィークの定植は早すぎるようで、5 月半ばまで待った方がいいようです。去年は 5 月 15 日に定植をはじめましたが、それでもまだ寒すぎるようでした。去年より気温が高いとはいえ、今年もそのくらいまで待った方がよさそうです。自然農では若めの苗を植えた方がいいようですが、トマトはもう 6 枚目から 7 枚目の葉っぱが出て来ているので、あと 20 日も待つと育ちすぎないかと少し心配です。ズッキーニもずいぶん大きくなってきてしまいました。明日の予想最低気温は 5 ℃、来週も 10 ℃を切る日がまだまだ多そうなので、霜は降りなくても低温障害を起こしそうで、悩ましいところです。

本日 4/26 の苗

夏野菜育苗に関する動画

最後に、育苗に関する動画をいくつかご紹介します。

毎回欠かさず視聴している「島の自然農園」さんが、小規模な家庭菜園のための育苗方法を二本の動画で紹介されていました。一つ目は、一般的なポットでの育苗方法で、私もこの方法で育苗しています。二つ目は、ポリポットなどの資材などを使用せずに畑で直接育苗する方法です。自然農の基本的な育苗方法ですが、この方法の場合、地温が上がってから種を播くことになり、どうしても時期が遅くなってしまいます。また、私が住んでいる地域などは、ゴールデンウィーク明けにも遅霜の恐れがあるので、畑で育苗する場合は、よほど遅く種をまかない限り、不織布や寒冷紗で保温する必要があり、結局は資材を使うことになります。あたたかい地域に住んでいたら、一度試してみたい方法ではあります。どちらがよいかは、環境などの要因は大きいものの、結局は個人の考え方なのだろうなと思います。

おなじくいつも視聴している「中谷自然農園」さんも育苗の動画を出されていました。少し大規模でわたしのように場所がない環境では難しい方法ですが、簡易な温床で発芽を促進する方法です。また、去年の動画ですが、育苗用の土の作り方も紹介されています。

畑の規模や育苗できるスペース、また育苗にかけられる時間や手間は、人によってさまざまです。いろいろな方法を試して、自分に最適な方法をみつけることが大切なのでしょうね。

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