乳製品を食べなくても十分なカルシウムは摂取できる?

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ホールフーズプラントベースの食生活をはじめてみようと考えたときに最初に頭に浮かぶのは「動物性食品を食べずにタンパク質がとれるのか?」という疑問の他に、「乳製品を食べずにカルシウムがとれるのか?」という疑問ではないでしょうか? 今回は、ホールフーズプラントベース ダイエットを推奨する医師たちのカルシウム摂取に対する考えをご紹介しようと思います。

目次

カルシウムとは?

 2020 年版日本人の食事摂取基準によると、カルシウムは、体重の 1〜2% を占め、その 99% は骨及び歯に存在し、残りの約 1% は血液や組織液、細胞に含まれているということです。血液中のカルシウム濃度が低くなると、それを補うために、主に骨からカルシウムが溶け出します。カルシウムが欠乏すると、骨粗鬆症、高血圧、動脈硬化などを生じることがあり、逆に、過剰に摂取すると、高カルシウム血症、高カルシウム尿症、軟組織の石灰化、泌尿器系結石、前立腺がん、鉄や亜鉛の吸収障害、便秘などを生じる可能性があります。

カルシウムの摂取量

ホールフーズプラントベースの食事法を最初に提唱した、コーネル大学栄養生化学部名誉教授 T・コリン・キャンベル博士の著書「チャイナスタディ ー」の共同執筆者であり、息子である、医師のトーマス・キャンベル氏は、カルシウムの摂取量に関してどのように考えているのでしょうか? トーマス・キャンベル氏は、少なくとも 500 mg のカルシウムをホールフーズプラントベースの食事法を通して摂取するべきであるとしています。そして、ホールフーズプラントベースの食事をしていれば、意識することなく 500 mg 以上のカルシウムを摂取できると述べています。さらに、必要量のカルシウムを摂取するだけでなく、骨の健康に対する運動の影響をしっかり理解することが必要だと強調しています。特に、適度な日光を浴びることによってカルシウムの吸収を助けるビタミン D が生成されることから、屋外での運動を奨励しています。

<カルシウムの1 日あたり摂取推奨量>
世界保健機構(WHO):500 mg
日本: 620〜789mg(成人の推奨量、年齢と性別により異なる)
英国:700 mg
アメリカ:1,000(女性)〜 1,200(男性)mg

また、トーマス・キャンベル氏は、ホールフーズプラントベースで摂取する緑黄色野菜をはじめとする野菜、果物、豆類などには、さまざまな栄養素が含まれているので、これらの食品を食べれば、骨のためだけでなく、心臓、脳、肝臓、その他すべての器官のためになると述べています。

必要な栄養素が摂取できているか記録をつけたとき、特に意識しなくても 1 日 500 mg 以上のカルシウムが摂取できていて、その他のほとんどの栄養素もバランス良く摂取できていたことからも、トーマス・キャンベル氏の考え方には納得できます。自然農では、畑の養分が多すぎるよりも何とか足りる程度の方が野菜がおいしくなるというようなことを聞きますが、人間も同じなのではないでしょうか? 必要最低限の栄養をバランスよく摂る生活を続けていれば、体が必要とする量の栄養素を効率よく吸収できるようになり、より健康に生きていけるのだということをホールフーズプラントベース の食事法から学んでいるように感じます。

カルシウムを体内に維持するために必要なこと

カルシウムは、食事から摂取したとしても、十分に吸収されて体内で利用されなければ意味がありません。アメリカの非営利団体である PCRM(Physicians Committee for Responsible Medicine)のウェブサイトに、どうすればカルシウムを効率的に体内に維持できるかについて記載があったので、その他の資料も参考にしながらご紹介したいと思います。

運動をする

運動をすることで、カルシウムが骨の中にとどまりやすくなります。活動的な人の骨には、カルシウムが保たれやすく、座りがちな生活をしている人の骨からは、カルシウムが失われやすいそうです。

ビタミン D を摂取する

ビタミンDは、カルシウムの吸収を助けることによって、強い骨を維持します。また、骨だけではなく、全般的な健康のためにも欠かせないビタミンです。 ビタミンDは、 栄養素として食べ物から十分な量を摂取することが難しいですが、日光を浴びることにより体内で生成することができます。通常は 1 日 15 分間、日光を浴びれば十分なビタミン D が生成できるということなので、天気が良い日は外に出て散歩をすれば、運動もできて一石二鳥ですね。

動物性のタンパク質を摂取しない

魚、肉、卵、乳製品に含まれる動物性タンパク質は、骨からカルシウムを溶け出させ、尿中に排泄されやすくします。豆類、穀物、野菜などに含まれる植物性タンパク質には、そのような作用はありません。乳製品には、カルシウムが含まれますが、同時に、動物性タンパク質、乳糖、成長因子、脂質、コレステロール、薬物、汚染物質など、体にとって有害な成分も含まれます。これらの成分は、がんや糖尿病、心臓病など、多くの病気の発症と関連付けられています。たとえ低脂肪製品であっても、やはり望ましくない成分を摂取することになるので、低脂肪であればいいという問題ではありません。

塩分を取り過ぎない

骨中のカルシウムは血液中に溶け出し、腎臓を通って尿として排出されます。食事中の塩分は、カルシウムの尿への排泄を促すため、過剰な塩分摂取はカルシウム不足につながります。

アメリカ臨床栄養学会誌に掲載された研究では、「塩分」と「タンパク質」の摂取量を減らした場合、1 日に必要なカルシウム摂取量が 500〜741 mg 程度に抑えられる可能性を示しています。つまり、塩とタンパク質の摂取が多ければ、より多くのカルシウムが必要となり、逆に塩とタンパク質の摂取を必要最低限に抑えれば、 それほど大量のカルシウムを摂取する必要がなくなるということです。

タバコを吸わない

一人は禁煙者、もう一人は長期喫煙者である一卵性双生児の研究で、後者は骨折のリスクが 40% 高かったという結果が出ています。

No Smoking

<カルシウムに関する参考資料>
T. Colin Campbell Center for Nutrition Studies「How to Get Calcium Without Dairy」
Physicians Committee for Responsible Medicine 「Calcium and Strong Bones」
Forks over Knives 「Getting Clarity About Calcium」
山梨医科大学名誉教授 佐藤章夫さんのホームページ「牛乳カルシウムの真実」

なぜ牛乳を飲むのか?

私は子供の頃からあまり好き嫌いもなく、どうしても食べられないものはありませんでした。乳製品も嫌いではなかったので学校給食で出る牛乳を毎日 1 本飲んでいましたし、家でも飲んでいたと思います。父が糖尿病を患っていた時に、豆乳が良いと聞いた母がお豆腐屋さんから買ってきたしぼりたての豆乳と牛乳を半々に混ぜて私にも飲ませてくれましたが、これがとてもおいしかったことを覚えています。しばらく続いていたように思いますが、その後はまた牛乳だけに戻り、家を出てからも長く牛乳生活が続いていました。海外に出てからは、牛乳が数日でヨーグルト状になり腐るという事件があり、豆乳の方が長持ちすることに気づいたので、豆乳を買うことが増えました。味も豆乳の方が好きでしたが、この頃もまだ特に牛乳を避けるということはありませんでした。ちなみに、牛乳がすぐに腐ったのは、冷蔵庫が古くて小さかったからかもしれません(^^;) 

なぜ牛乳を飲んでいたか振り返って考えてみると、「いつも飲んでいたから」という理由の他に、「カルシウム補給に必要」と思い込んでいたという理由が思い当たります。今の食生活をはじめてからは、牛乳は牛の赤ちゃんが成長するために飲むべきもので、人間の赤ちゃんが飲むべきものではなく、ましてや大人が飲むべきものであるはずがないと聞き、確かにそうだなと思いました。それまで考えたこともなかったことですが、なぜ他の動物の母乳を人間の大人が毎日飲むように奨励されるのか、今考えると全く納得がいきません。日本で牛乳が一般的になったのが戦後の食糧不足のなかでの栄養補給が目的だったのであれば、毎日の食に困ることなく生きている現代の日本人が、毎日乳製品を摂らなければ本当に栄養不足になってしまうとは考えにくいように思います。また、乳製品が人間の体だけでなく環境に与える影響、乳牛がどのように扱われているかなどについても改めて考えてみても良いのかもしれません。

<牛乳の歴史>
日本で牛乳が一般庶民の口に入るようになったのが明治はじめ、そして日常食として普及したのは戦後です。戦後、子供の栄養不足から学校給食が全国展開され、アメリカからの援助物資である脱脂粉乳が提供されるようになり、牛乳が日本で広まるきっかけになったとのこと。母から脱脂粉乳は、おいしくなかったと聞いたことがありますが、バターを取った後に残る液体を粉にしたもので、当時アメリカでは粉にする前の液体は馬の餌として利用していたようです1。現在は調整牛乳の成分調整用、食品原料、製菓・ホームベーカリー原料などに利用されているそうです2
1 どっこいしょニッポン参照
ウィキペディア参照

<牛乳に関する参照サイト>
市民化学研究室「あなたはなぜ牛乳を飲むのですか?」
山梨医科大学名誉教授 佐藤章夫さんのホームページ「日本人と牛乳」

<乳牛に関する参照サイト>
斎藤牧場「牛さんのこと」
明治乳業「乳牛について」

最後に

国や団体によりカルシウム摂取推奨量がなぜ違うのか疑問でしたが、摂取したカルシウムが体内でどれだけ利用できるかは、その人の体質や生活習慣全般によって変わってくるので、推奨量の基準値を決めること自体が極めて困難であることがわかりました。日本国内ですら、それぞれ違う生活環境の中で違う食生活をしています。カルシウムだけでなくその他の栄養素をどれだけ摂取していて、どれだけ吸収できているかなども関わってくれば、推奨量が人それぞれ違って当たり前なのでしょう。

今では日本人が当たり前のように飲んでいる牛乳。多くの人は、私がそうであったように、カルシウムを摂取して骨を強くするために、乳製品を摂る必要があると思い込んでいるのではないでしょうか? 実際には、動物性食品からカルシウムを摂取することには、健康へのマイナスの影響が付随します。具体的には、乳製品を日常的に摂取することにより、がん、糖尿病、心臓病、認知症など、多くの病気のリスクが上昇します。生クリームやバター、それにアイスクリームはもちろんのことですが、健康のためと思って食べているチーズも、健康に有害な動物性タンパク質だけでなく、脂質や塩分などを大量に含んでいます。カルシウムは、意外なことかもしれませんが、ホールフーズプラントベースダイエットに従った食事をしていれば、植物性食品から十分に、しかも安全に摂取することができます。 

私自身も、以前は健康のために動物性の食品も食べなければいけないと思っていましたが、自然農や、ホールフーズプラントベースの考え方を学ぶことで、自分が住む地球の環境のことも考えながら、健康な体を作るために何を食べるのが良いのか少しずつわかってきたように思います。動物性の食品には、確かに人間に必要な栄養素も含まれているけれども、それ以上に有害な成分が含まれいます。植物性の食品には、人間が生きていく上で必須とされる栄養素だけでなく、健康な体を作り、維持していくうえで有益に働くさまざまな成分が含まれています。ホールフーズプラントベースダイエットを知ってからは、身体に有害な食品を摂取していれば、 今すぐにではなくとも、歳を重ねていくうちに問題が出てくる可能性があることを自分の中で一歩深く理解できたように思います。これからも引き続きホールフーズプラントベースダイエットについて学んでいきたいと思います。

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