11 月上旬、秋冬野菜の現状報告

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貸農園一年目の夏野菜シーズンが終わり、現在は秋冬野菜を育てています。自然農のやり方にしたがって、夏野菜を片付けたあとの畑を耕したり、堆肥や化学肥料を入れたり……というようなことはしていません。収穫が終わった夏野菜のあとや、終わり間近の夏野菜の株元に、少しずつ苗を植え、種をまきました。この記事では、秋冬野菜の計画から、栽培中のようす、冬支度のことまで、畑の現状と計画をお伝えしたいと思います。

目次

秋冬野菜の作付け計画

慣行農法では、夏野菜が終われば、それを引っこ抜いて片づけてから、耕して肥料を入れ、次の栽培をはじめる、または畑を休ませるのが普通だと思います。貸農園の周りの畑でも、夏が終わると、一斉にトマトやナスやピーマンが引っこ抜かれて捨てられ、土はきれいに耕されて石灰がまかれ、しばらくするとマルチが張られ、次の作物が植えられていました。以前であれば、そんなことを不思議にも思わなかったと思いますが、自然農を学び始めて、そのような方法が土壌を疲弊させることを知りました。そして、そもそもそんなことをする必要がないことに気付きました。

収穫が終わりに近い夏野菜は、通常は次の作物の場所を確保するために早目に処分すると思いますが、自然農では、秋まで収穫を続けながら、株元に次の作物の苗を植えます。長く収穫できるだけでなく、夏野菜の作る日陰は、まだ強すぎる日差しから苗を守ってくれるので、一石二鳥ですね。また、背の高い夏野菜は、そのままにしておけば、次の野菜の仮支柱にも使えます。次の作物の邪魔になるものは、引っこ抜かずに地上部だけを刈り取ります。植物が根を張ることで自然に耕されて柔らかくなった土を固くしてしまうからです。刈り取った夏野菜の残渣は、外に持ち出して処分するのではなく、草と同様に畝の上に敷き重ねてマルチにします。このマルチは、生き物の住処となり、やがてはそこに住む生き物の死骸とともに土壌の養分となります。マルチの下では、冬の間も生き物が暮らし、土を耕してやわらかくし、よい土を作ってくれます。土を耕すのは、植物の根とミミズなどの生物に任せているので、人間が土を掘り返す必要はありません。人間が耕した土は、土中の生き物や植物の根によって自然に作られたフカフカの土と違って、フカフカが長続きしないということです。耕すことなく、楽をして土壌がよくなるなら、それに越したことはありませんね。自然農の畑は、耕さずに栽培を続けるうちに、植物と生物の命の循環により土壌のバランスが整い、肥料を与えなくても作物が育つようになるいうことです。一年目の畑では、そんな状態にはまだまだ遠いですが、いつかそんな理想的な循環を自分の畑で実現したいものです。

さて、秋冬野菜ですが、最初は、この畝には大根とニンジンとごぼう、あの畝にはカリフラワーと春菊、という風に作付け計画をしていました。ところが実際には、種まき時期になっても、畝が前の野菜に占領されていて場所がなかったりして、まったく計画通りにはいきませんでした。そういうわけで、結局は、空いた場所に適期の種を少しずつまいていくという作戦に変えました。8 月には、ニンジン、サニーレタス、スイスチャード、茎ブロッコリー、春菊、小カブなど、9 月になって、ネギ、カラシナ、ハツカダイコン、ホウレンソウ、ゴボウ、大根、ニンニク、小松菜などと、次々に種をまきました。カリフラワーと芽キャベツの苗も植えました。種は、種類が多い上に、なかなか芽が出ないものもあり、どこに何をまいたのか次第にわからなくなってきてしまい、それどころか種をまいたかどうかもわからなくなり、途中から名札を立てるようにしました。10 月になって、イチゴの苗を植え、スナップエンドウと大麦の種をまき、その他まだ時期が間に合いそうな、アブラナ科の野菜やホウレンソウなどの種をまきました。11 月に入ってからも、ぎりぎり間に合いそうな野菜の種を場所のある限りまいています。たくさん種をまいていれば、そのうちどれかは上手く育つのではないかという考えです。

片っ端から種をまきながらも、畑の一画は育苗のためにとってあります。1 年目の今年は、種と苗は全部店で購入し、種はすべて直まきしましたが、来年の春は、育苗に挑戦してみようと思っています。最初の計画は、育苗予定の畝に生ごみを埋めて堆肥にしてから、その土で育苗しようというものでした。ところが、生ごみを埋めてすぐに動物に掘り返されたので、その計画は断念しました。あとで考えると、寒い時期は堆肥ができるのに時間がかかるので、育苗の時期までに完熟堆肥を作ろうという計画には無理があったと思います。未熟な堆肥は育苗にはよくないので、むしろ動物に掘り返されて、計画を考え直すことになり、ちょうどよかったのかもしれません。ということで、育苗用の畝は、とりあえず草や収穫後のサツマイモのつるで表面を覆って裸にならないようにしてあります。

10/27 の畑全体です。参考までに、下の写真は最初に畝を立てたときのものです。ずいぶん変わりました!
貸農園で畑をはじめるー化学肥料と農薬を使わない野菜作りー
畝を立てて苗を何本か植えた状態の畑

夏の終わりからの草と虫のようす

上にも書いたとおり、いろいろな野菜の種をさまざまな時期にまいたのですが、同じ野菜でも、まいた時期で成長が大きく違うのが興味深く、勉強になります。アブラナ科は、まだ暑くて虫が活発な時期にまいたものは、芽を出したとたんに食べられて、目も当てられない状況でした。全滅はしていなくても、葉っぱをかなり食べられているので、成長が遅く、うまく育つのかどうかもわかりません。ほとんどダイコンサルハムシの仕業と思われますが、この虫も最近は少し減ってきたようで、涼しくなってから種をまいたものは、あまり食べられずにすくすくと育っています。ダイコンサルハムシには、白菜の苗もかなりやられましたが、それでも涼しくなって虫が減ってきてからは、それなりに大きくなってきました。このまま成長してくれることを祈ります! モンシロチョウの幼虫もアブラナ科ではよく見かけますが、被害はダイコンサルハムシほどではありません。

10 月のいつ頃からか、草の勢いも衰え、11 月の今では、夏草はすっかり枯れてしまいました。あんなに勢いがあった草が、一斉に枯れて倒れていくなんて、なんだか不思議な気さえします。今は冬草が出て来ていますが、背の低い、かわいらしい草が多く、草刈りの必要は今のところまったくありません。夏は刈っても刈っても草が生えてきましたが、今は、マルチにする草もなくなってしまい、周りから草をかきあつめているくらいです。普通の農業をしていると草が憎くなるのに、自然農をやっていると草が好きになる、と誰かが言っていましたが、本当だなぁとしみじみ感じています。

畝の周りの草もすっかりなくなり、無防備な感じになりましたが、この辺りは冬は特に風が強くて寒いので、ちょっとした風よけにならないかと、畑の東側と西側に大麦の種をまいてみました。種をまいて数日で発芽し、寒いのにすくすくと元気に育って頼もしい限りです。畝の側にはクリムゾンクローバーの種もまきました。茶色く枯れて倒れた夏草のなか、緑がとてもきれいです。あとではマルチにもできるので、とてもありがたい存在です。

秋冬野菜の現状

アブラナ科は、遅めに種まきをしたものは絶好調です。特に大根は、種をまいてから、あっという間に芽が出て、葉っぱがどんどん育ったと思ったら、今では地面からにょきにょきと白い体をのぞかせています。畑に行くたびに間引いて、葉の部分は炒めたり、汁物に入れたりし、小さな大根はぬか漬けにしています。同じアブラナ科のカラシナも大きく育っています。

春菊は 8~9 月にまいたものが元気に育っています。先日、間引いたものを別の場所に移植しましたが、水をやっていないのに晴れの日が続いたので、3 日前に見たときはしおれかけていました。水をやったので復活しているといいですが。春菊については、なぜか遅くまいたものは発芽率が悪いです。まだ時期的には大丈夫なはずなので、原因はわかりません。ゴボウは、種をまくのが少し遅かったのか、芽は出たものの、ほとんど成長しないままです。種をまく時期は、とても重要だということでしょうね。

直まきにしたネギや玉ねぎは、出てきた芽がひょろひょろで、こんなので大丈夫かな? という感じでしたが、一部は少し成長して、ややしっかりしてきました。ほうれん草は、芽が出るのも成長するのもゆっくりですが、特に虫に食べられることもなく元気そうです。ニンニクは、芽が出てからしばらくはよかったのですが、葉っぱが少し黄色くなってきました。寒いからそんなものなのか、何か問題があるのか、よくわかりませんがしばらく見守ります。ニンニクと一緒に植えたイチゴの苗は、地面にぴったり張り付いて、冬の準備をしているようです。スナップエンドウは、大麦と一緒にまきました。竹内孝功さんが本で紹介していたこのまき方、冬の間、大麦がエンドウの風よけになってくれるということです。うまくいくかどうか楽しみです。今のところは、エンドウも大麦も順調です。エンドウは大きくなりすぎると冬を越せないらしいので、遅めにまいたつもりですが、それでもちょっと早かったかもしれません。まきどきは地域によって違うので、本や YouTube ではわかりません。自分で実験してみるしかないですね。

秋冬野菜を育てるのははじめてで、わからないことばかりですが、今のところ、夏よりもうまく成長しているようです。夏とくらべて虫の被害が少ないのが助かります。それから、夏の間は、長袖長ズボンに長靴という服装での作業は夕方でも暑かったですが、今は涼しくて気持ちがいいので、畑で一日中でも過ごしたいくらいです。蚊がいなくなったのもとてもありがたいです。夏の間は蚊がひどくて、虫よけスプレーや蚊取り線香で対応しましたが、毎回必ず刺されて痒い思いをしていました。また、夏は草整理に追われて作物をじっくり見る暇もなかったですが、今は虫や植物を観察しながらの畑の作業がとても楽しいです。どの野菜も順調に育ってくれますように!  

冬の畑、ほったらかしで大丈夫?

今一番の疑問は、冬の畑は一体どうなるのか? ということです。全くの素人なので、正直なところ、冬に畑がどうなるのかよくわかりません。エンドウ、イチゴ、ニンニク、玉ねぎなどは越冬するということですが、この辺りは結構寒くなるので(去年 2 月に越してきたばかりでよくわかりませんが、寒いときはマイナス5~10 ℃くらいだったでしょうか?)、そんな中で生き残れるとすれば、むしろ不思議です。ニンニクとイチゴは、なんとなく大丈夫そうな気がしているのですが、タマネギは、種をまいてから成長するのに時間がかかり、まだまだ細くて小さいので、このままでは寒さでダメになりそうです。逆にエンドウは、最近暖かい日が続いているので、冬までに成長しすぎるのではないかと懸念しています。また、大麦を一緒に植えたものの、それだけで風よけは十分なのか、さらに藁で囲いをすべきなのか、今も思案中です。

それから、大根や白菜、ホウレンソウ、小松菜、カラシナ、ニンジンなど、今育っている野菜は、一体いつごろまで収穫できるのかもよくわかりません。調べても、気候によって違うでしょうし、まぁその時期が来ればわかることなので、成り行きに任せようと思います。冬の間は一か月ほど留守にする予定なので、畑もその間はほったらかしになります。畑中心のスケジュールで、留守にする期間は、畑の世話をしなくていいであろう時期に合わせました。

今日はこれから畑に行く予定です。家からは車で20分程度と少し遠いので、毎日とはいきませんが、3 日に 1 回くらいは通っています。一年でも一番好きな秋。気持ちのよい季節に、畑仕事を十分楽しみたいと思います。

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